神様ではなく”髪”をお祀りする神社が京都にあるのをご存知でしょうか。
「日本で唯一の髪の神社」といわれる御髪神社です。
髪と頭に御利益がある御髪神社には、地元住民のみならず、遠方からも理美容関係者や髪の毛に悩みを抱える人達が訪れています。
境内に奉納してある絵馬を見ると、あの有名人の名前も・・・!
今回は御髪神社についてご紹介します。
御髪神社への行き方
「日本で唯一の髪の神社」といわれている御髪神社(みかみじんじゃ)は、景勝地で有名な京都・嵯峨野の竹林を抜けたあたりにあります。今回、私は阪急電鉄「嵐山駅」から徒歩にて御髪神社へ向かいましたので、行き方を記しておきます。
ちなみに御髪神社に行く途中には、以前の記事で紹介した野宮神社 があります。
今回、私は阪急電鉄「嵐山駅」から徒歩にて御髪神社へ向かいました。
その時の行き方を記しておきます。

阪急電鉄「嵐山駅」で下車、
駅前の広場を抜け、嵐山公園を通り過ぎ、渡月橋を目指します。

渡月橋を渡り、しばらくまっすぐ進みます。
左手に世界遺産に登録されている「天龍寺」が、
右手にりらっくま茶房が見えてきます。

いずれもそのまま通り過ぎ、
左手に現れる青文字の看板を左へ。

嵐山で人気のスポット「竹林」の中を道なりに進むと、野宮神社が見えてきますのでその手前の道を左に行きます。

竹林を抜けた突き当りを右に進み、ややアップダウンのある道を越えていくと、

小倉池をはさんだ向かい側、舞い散る桜並木の間から御髪神社が見えます。
御髪神社の御祭神 藤原采女亮政之

髪と頭にご利益がある御髪神社は、藤原采女亮政之公を祭神として称えお祀りしています。
藤原采女亮政之・・・? ちょっと聞いたことがない神様ですね
御祭神の藤原采女亮政之(ふじわらのうねめのすけまさゆき)公は、
「日本の髪結師の初祖」と言われている鎌倉時代に活躍した実在の人物です。
亀山天皇の御代のこと。
宮中の宝物係であった政之の父・藤原基晴(もとはる)が、お預かりしていた宝刀「九王丸」を失くしてしまいました。
責任を感じた基晴は浪人となり、宝刀を探すために諸国行脚の旅に出ます。
基晴の長男と次男は京に留まって宝刀を探し、三男は諸国行脚の旅に出る基晴に同行しました。
この時に基晴に同行した三男が御髪神社の御祭神となった藤原采女亮政之公です。
当時、日本は蒙古(モンゴル)軍の侵攻に備えて、山口県・下関に全国の武士が集まっていました。
大勢の武士がいるということは、そこには武器の刀もたくさんあるということ。
「失った宝刀の手がかりが見つかるかもしれない」
そう考えた親子は下関に移り住みます。
刀を捜し続ける一方、親子の生活は厳しく・・・
そこで家計を支えるために政之が始めた仕事が「髪結い職」でした。
これが日本最初の理容職だといわれています。

ちなみに理髪店のことを「床屋」といいますが、
これは政之が下関で髪結所を開いた時に、亀山天皇を祀る祭壇と藤原家の掛け軸が床の間にあったことが語源だとされています。
政之の髪結いはとても評判が良く、その腕前は幕府にも伝わりました。
基晴の死後、鎌倉に移り住んだ政之は幕府御用達の髪結師となり、1335年に亡くなるまで重用されたと云われています。
その立派な処世と功績により、「従五位」を天皇より賜りました。
御髪神社が京都嵯峨野の小倉山、しかも亀山天皇の御陵の近くに建立されているのは、こうした亀山天皇と藤原采女亮政之公の間に深い縁があるからなのです。
亀山天皇のお墓は、御髪神社の近くにある「天龍寺」の亀山稜にあります。
藤原采女亮政之公は現代においても理髪業者から篤く信仰されていたようです。
政之の命日が7月17日だったことから、理美容業者は昭和の初め頃まで毎月17日を定休日としていたお店が多かったのだとか。
そして1961年に、御髪神社は京都の理美容関係者によって創建されました。
御髪神社の見どころ
絵馬
御髪神社の社務所の横に、美しい髪の女性が描かれたつげ櫛の形の絵馬が奉納されています。人が書いた絵馬を覗き見るのは悪趣味ですが・・・
あまりにも切実な願いがSNSなどで話題となっているのです。
絵馬に書かれた願い事を見ると、
理容師・美容師の人
理容師・美容師の試験勉強をしている人
髪の悩みを抱えている人
こうした人たちが絵馬を奉納されているようです。
そして御髪神社にお詣りの際に是非見ていただきたいのが、有名人が奉納した数々の絵馬です。
最も目立つ場所にあるブラックマヨネーズの小杉さんとモト冬樹さん

その横にある中野浩一さん

モト冬樹さんは端に「part-2」と書いてあるので、何度か足を運んでいるのかもしれません。
アンジャッシュの渡部さんと森脇健児さん

そしてなんとニコラス・ケイジ・・・!?

「コン・エアー」の時には既に危なかったですからね。
▼ ニコラス・ケイジの生え際の変遷をまとめた心無い動画
やめてあげて!
玉垣

御髪神社の境内にある玉垣には、髪に関する企業や理容室・美容室、美容系専門学校の玉垣が並んでいます。
「リーブ21」や「アートネイチャー」など増毛ビジネスに携わる会社や、
「ツムラ」や「カネボウ」など化粧品を製造している企業の名前など。
知っている名前があるだけでもちょっと楽しいですね。
髪にかかわる業界関係者が多数訪れていることが分かります。
髪塚

御髪神社の境内には「髪塚」と呼ばれる石塚が建っています。
髪の毛の神社だけあって、参拝者は自分の髪の毛を奉納することができるのです。
御髪神社の参拝方法はちょっと変わっており、「献髪」という方法で行います。
鳥居をくぐって右手にある社務所にて「御髪献納」を購入し、神職の方に専用のハサミで髪の毛を5本くらいを2㎝ほど切ってもらいます。
願い事をしながら切った髪の毛を髪塚に納めるとご利益があるといわれ、神官によって毎日祈拝が行われています。
奉納された髪の毛は未来永劫、御髪神社の髪塚で保管されます。
自分の一部がお祀りの対象になるというのはなんだか凄いですね。
また、毎年春と秋には、髪の毛への感謝の意をこめた「業祖神奉祭」と「髪供養」が行われます。
その日には理美容業界の関係者や、髪へのご利益を求める多くの人々が参詣され、大変賑わうそうです。
猫
御髪神社は境内で気ままに過ごす猫がいるそうです。数匹の猫が境内に暮らしているらしく、しかも人に慣れているので、参拝客に甘えてくることもあるのだとか。
かなり楽しみにしていたのですが・・・
残念ながら私がお詣りした日には猫さんはいませんでした。
その日は大阪の高校が撮影に来ていて、参拝に訪れた人たちにインタビューをしていました。
もしかしたら、いつもと違う境内の様子に、猫たちもどこかへ行ってしまったのかもしれません。
御髪神社の御利益

御髪神社は「日本の髪結師の初祖」である藤原采女亮政之公を御祭神としてお祀りしています。
そのため全国の美容師さんや理容師さんが多く訪れ、商売繁盛などを願うようになりました。
しかも髪に関する神社は日本で御髪神社だけですから、髪にまつわる御利益をいただきたいと全国から多くの参拝客が訪れています。
理美容業界の関係者
理美容師を目指している人
美しい髪の毛を保ちたい人
薄毛に悩む人・・・
珍しい神社としてテレビや雑誌でも取り上げられ、最近では芸能人やモデルさんなども足を運んでいるそうです。
また、
髪の毛は頭を保護するもの → 頭にも御利益 → 頭が良くなる!
という発想から、大学受験や国家資格などの合格祈願に訪れる人もいます。
御髪神社は、年代や性別、地域を問わず、多くの人が訪れる神社なのです。
御髪神社のお守りは通販でも買えます!

御髪神社のお守りはデザインが面白いことで知られています。
「御櫛守(おぐしまもり)」は櫛をキーホルダーにしたお守りで、色は赤色・緑色から選ぶことができます。
美しい髪を維持したい女性におすすめです。
「福髪守(ふくのかみまもり)」は小さな櫛とハサミをデザインしたお守りで、色はピンク・白・青から選ぶことができます。
こちらは理美容関係の方におすすめで、
仕事道具のハサミや櫛を入れているウエストバッグに付けている人も多いという話です。
櫛やハサミ以外にも、髪の毛のお守りの「房々守(ふさふさもり)」や合格祈願のお守りも扱っています。
御髪神社に興味はあるけど、京都へは遠くて行けないという方もいらっしゃいますよね。
御髪神社では、公式ホームページ (外部サイトへ飛びます)にてお守りの通信販売をしています。
御髪神社 公式ホームページより画像引用
お守りの通信販売は、公式ホームページにある専用フォームから申し込むことができます。
ご興味のある方は是非覗いてみてください!
おわりに
御髪神社のことはテレビで紹介されているのを見て知りました。「変わった御利益のある神社」とのことで、かねてから行ってみたいと思っていた神社でしたので、お詣りすることができて嬉しく思います。
神社参拝というとどうしても御利益ばかり注目されがちですが、
御由緒や御祭神様について調べていくと、もっと奥深いこの国の歴史を見ることができます。
また、小倉山の麓にある御髪神社は周りが自然が美しい場所でもあります。
私が訪れた春先は桜が咲き乱れていましたし、秋は紅葉が大変美しいそうです。
理美容業界に身を置く方や髪に悩みのある方はもちろんのこと、
嵐山の竹林を抜けたところにある自然の景色を楽しむため、御髪神社をお詣りしてもよいのではないかと思いました。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。