新型コロナの感染拡大により世界に混乱と不安が広がる中、江戸時代に流行病の流行を予言したというある鳥が話題になっています。
黒と白のふたつの頭を持つ「ヨゲンノトリ」。
それはかつてコレラに苦しめられた甲斐国の人々の前に現れ、「私の姿を朝夕に拝めば難を逃れることができる」と告げた不思議な存在です。
当ブログでも紹介したアマビエに続き、イラストや人形などで表現したヨゲンノトリを投稿する人も現れ、第2の「アマビエチャレンジ」のような盛り上がりを見せています。
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一躍脚光を浴びている「ヨゲンノトリ」について調べてみました!
アイキャッチはprioホームページよりフリー画像を使用
山梨県立博物館が発見した不思議な鳥の絵「ヨゲンノトリ」
山梨県笛吹氏にある山梨県立博物館が所蔵する「ヨゲンノトリ」という不思議な鳥の絵が話題を呼んでいます。新型コロナの感染拡大により世界に混乱と不安が広がる中、「アマビエ」という江戸時代の妖怪が話題になっているのをご存知でしょうか。
疫病を予言し自分の姿を書き写して人に見せるよう告げたことから、疫病除けの効果があると2月末よりtwitterを中心に話題になっているのです。
山梨県立博物館の学芸員さんがそんなアマビエの話題を知り、同じような例がないか館内の所蔵品を調べたところ、不思議な鳥の絵が描かれた日記を発見したのだとか。
そこでこの鳥を「ヨゲンノトリ」と名付け、4月3日にtwitterで公開したところ1万件を超す「いいね」が寄せられることになったのです。
それではヨゲンノトリの言い伝えについて紹介してまいりましょう。
ヨゲンノトリとは
山梨県立博物館ホームページ(外部リンク)を画像キャプチャ
ヨゲンノトリとは山梨県立博物館が所蔵する文献「暴瀉病流行日記(ぼうしゃびょうりゅうこうにっき)」に描かれている不思議な鳥です。
その姿はカラスのようにみえますが、1つの胴体に白と黒に分かれた2つの頭がついています。
「暴瀉病流行日記」につけられている説明は現代語にするとこんな感じです。
この絵のような鳥が去年12月、加賀国(現在の石川県)白山に現れてこう言った。
「来年の8月、9月のころ、世の中の人が9割が死ぬという災難が起こる。我らの姿を朝と夕に仰ぎ、信心する者は必ずその難を逃れることができるであろう」
これは熊野七社大権現のすぐれた武徳をあらわす烏であると言われている。
今年の8月、9月に入り、多くの人が死んだ。まさしく神の力、不思議なお告げである。
「暴瀉病流行日記」は、その当時猛威を奮っていたコレラの様子を甲斐国(現在の山梨県)の役人が記録していた日記です。
1858年に長崎で発生したコレラは7月には江戸に到達。
7月後半には甲斐国でも感染が拡大していきます。
1日に30~40人もの人が伝染病で亡くなり、甲府で683人の死者が出たことが記されています。
寺社では病魔退散を祈る祈禱や祭礼が盛んに行われていたと。
8月の初頭に役人はヨゲンノトリの不思議な噂を耳にし、こうして日記に書き記したのです。
これ以外には不思議な鳥についての情報は日記には書かれておらず、それ以上のことはわからないのです。
「加賀国白山」という地名が登場していますが、察するに当時の人々が不思議なことが起きそうな霊地としてその名を借りたもの。
実際に白山にこうした予言獣が現れたわけではないだろうと、山梨県立博物館は説明しています。

記紀神話には登場しない賀茂建角身命が姿を変えたものとされています。
賀茂建角身命の厄除け・方除け・旅行安全・身体病難解除・試験合格などのご利益があると言われていますが…さすがにこれは考察ではなくてこじつけがすぎますね。
私的利用ならコピーや待受けに使っていいって!

ヨゲンノトリと名前だけ聞くと何だかおどろおどろしい雰囲気がありますが、史料に描かれた姿はゆるキャラみたいな感じですね。
ネット上でも「これはかわいい」「素敵な鳥さん」という好意的な意見もチラホラ。
そしてアマビエに続き、ヨゲンノトリをイラストや折り紙、フェルトの人形、粘土グッズなどにした作品も次々に作成・投稿されています。
ヨゲンノトリの画像ですが、私的利用の範囲に限り、どなたでもご自由にご利用いただけますとのことです!
スマホや携帯の待ち受け画面にしたり、コピーしたりして感染避けに使ったりしてもよいということですね。
画像の商用利用にあたっては所定の手続きが必要とのこと。
すでに商業利用の問い合わせも50件ほど寄せられているらしく、お札やキーホルダー、衣料品や酒のラベルなどに使われる予定のようです。
興味のある方は山梨県立博物館のヨゲンノトリのコーナー(外部リンク)を参照ください!
しばらくしたら熊本県のくまもんみたいに、オンラインショップや実店舗などでヨゲンノトリがプリントされた商品をしょっちゅう見かけることになるかもしれませんね。
この記事のまとめ!
未曽有の危機になって注目されているヨゲンノトリ。これまでも山梨県立博物館で何度か展示されていたヨゲンノトリですが「未知の病、疫病に対する不安は、今の状況と重なるところが多い。昔の史料を通して病との向き合い方を学んでほしい」としばらくはホームページ上で公開を続けるとのことです。
スマホの待受けやコピーに使いたいなと思っている方は、画像のダウンロードをお早めに…!
アマビエやヨゲンノトリの他、医薬の神様であるスクナビコナノカミをお祀りする神社のお守りも爆売れしていると聞いています。
知らずに感染しているかもしれない、ワクチンもない、治療法もない…
目に見えない脅威にさらされた人たちは今も昔も、最終的には目に見えない存在に救いを求めるものなのかもしれません。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
また来てね!