月と人の不思議な関係 バイオタイド理論

バイオタイド理論 満月

地球の衛星である月。

潮の満ち引きに見られるように、月の引力は地球にも影響を及ぼしています。

 

しかし、月が影響を与えているのは潮の満ち引きだけではありません。

そう、それは人間にも。

 

今回は、月と人の不思議な関係、バイオタイド理論を紹介します!



 
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バイオタイド理論とは

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バイオタイド理論とは、アメリカ人の精神科医アーノルド・L・リーバーが1984年に出版した彼の著書『月の魔力』で提唱した

 

「月の満ち欠けが、人間の行動や感情などに何らかの影響を与えている」

 

とする理論のことです。

 

人体の約60%が水分によって構成されています。

この割合は、地球の表面積を占める水の面積と同じ割合なのです。

 

そこでリーバーは、月の引力によって潮の満ち引きが発生するなら、人間にも精神的・肉体的に何らかの影響があるのではないかと考えたのです。

 

リーバーの著書で、彼が収集したデータを基にした理論を展開しています。

この理論は、ニューエイジ運動が起こっていた当時のアメリカ国内では注目を浴び、広く知られるようになりました。

 

バイオタイド理論に至る経緯

当時マイアミにある大学病院の精神科に勤務していたリーバーはあることに気付きました。

多くの患者の症状が、一定の周期ごとに不安定になっているのです。

 

また、アメリカでは、満月の日には出産率が高く、同時に殺人事件や交通事故などの発生率も高くなるという噂が既に囁かれていました。

これらにも何か因果関係があるのではないかと推測しました。

 

リーバーは、フロリダ州・デイド郡とオハイオ州・カヤホガ郡で発生した殺人事件の発生件数のデータを調べ、月の満ち欠けの周期を重ね合わせてみました。

その結果、満月の日から前後三日以内が、もっとも殺人事件の発生件数が多くなるということが判明したのです。

 

その他、全部で96種類もの統計テストが行われており、月が人体に何らかの影響を及ぼしていると証明しました。

 

月が人体に与える影響

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潮の満ち引きは月の引力によって起こります。

これと同じように、月によって人体の水分が移動し、人間の行動に影響を及ぼすのではないか、とリーバーは説明しています。

 

中世ヨーロッパに伝わる狼男の伝説は、月が人に影響を及ぼすと古くから考えられていたことを示す良い例でしょう。

さらに「切り裂きジャック」「ボストン絞殺魔」「サムの息子(デビッド・バーコウィッツ)」など、これら歴史に残る事件の発生した日は全て、満月の日に起こったのだと言われています。

 

満月の日は

●出産率、殺人事件・交通事故などの発生率が高くなる

●感情が高ぶりやすくなる

●株価が上がる

 

新月の日は

●自然死によって亡くなる人が増える

●株価が下がる

 

といった影響が出ると言われています。

 

月経のように、月と同じくように周期が存在する現象があります。

そのため、女性の体は月の影響をより多く受けると考えられています。

 

バイオタイド理論に対する批判

リーバーが著書「月の魔力」で記した、96種類の統計データ自体が、自説に都合がいいデータを取捨選択している可能性が高いという批判されています。

その統計解析の方法についても不明な点が多く、現在では科学的・医学的には否定されています。

 

学術的には、「満月の日には出産率が高くなる」というような統計データは今日まで確認されておらず、あくまで噂や都市伝説の域を出ないと言われています。

 

また、月の満ち欠けの周期に基づく「太陰暦」を採用している国々では、祝日や祭典の日が満月や新月と重なっています。

そのため、事件や事故などのトラブルの発生件数の増減が、あたかも月の満ち欠けと重なり、両者の間にあたかも関連があるかのように見えるとする説もあります。

 

また2005年から2008年にかけてカナダ・ラバル大学が、月の満ち欠けと精神状態との因果関係について調査を行っています。

心理学者からなる研究チームが、精神疾患によって病院に入院しているおよそ770人の患者を対象に症状の変化を記録しました。

そして月の満ち欠けと照らし合わせ関連性を調査した結果、両者の間に因果関係を見つけることはできなかったと発表しています。

 

あとがき

バイオタイド理論は、根拠とするデータの不確実性から、噂や都市伝説の域を出ないと考えられています。

 

ですが、満月の夜に狼が遠吠えを繰り返し、また、サンゴが一斉に産卵することなどが知られています。

その他にも、地震と月の満ち欠けにも関連性が指摘されており、関東大震災や阪神淡路大震災といった歴史に残るような大きな地震は、満月・新月の前後3日に起こっているとするデータもあります。

月が持つ不思議な力。

学術的に認められていなくても、何だか惹かれてしまう話ですね。