北朝鮮による日本へのミサイル発射が警戒されています。
昨年、2016年にはミサイル打ち上げが16回もありました。
「いやいや、いくら何でも日本にミサイルを撃ち込むことはないだろう」
そう考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし今年に入ってから、昨年に輪をかけて頻繁に行われるミサイルの打ち上げ。
回を重ねるごとに精度や性能も上がってきているように思えます。
北朝鮮に対し、日本政府の対応はというと、
「誠に遺憾である」
「厳重に抗議を行う」
を繰り返すばかり。
もし本当に核ミサイルを打ち込まれたら・・・
現在の防衛システムで国民を守ることができるのでしょうか。
「国民保護ポータルサイト」の「弾道ミサイル落下時の行動について」を基に、
ミサイルが打ち込まれた場合、私たちが身を守るためにどうすればよいか、対処法についてまとめてみました。
なぜ日本がミサイルの標的になるのか
なぜ日本がミサイルの標的になるのでしょうか。その理由は日本の至る所に米軍の主要基地があるからです。
たとえ日本が直接参戦することがなくても、
日本に米軍の主要基地があり、そこが北朝鮮への進撃の拠点になることがわかっているなら、
日本が攻撃対象となることも考えられます。
前の戦争から70年間平和だったからといって、この先も同様に平和が続くとは限らないのです。
日本の防衛システム 「SM3」と「PAC3」

日本を標的とするミサイルに対し、この国はどのような防衛システムを持っているのでしょうか。
自衛隊は海上配備型迎撃ミサイル「SM3」と地対空誘導弾パトリオット「PAC3」を保有し、二段構えで迎撃する態勢を取っています。
つまり、飛来する弾道ミサイルをイージス護衛艦から発射する「SM3」で迎撃。
討ち漏らした場合、地上に配備してある「PAC3」で対処するのです。
その的中率は、イージス艦が82%!
撃ち漏らしたとしても、PAC-3も同じく約80%!
二段構えの迎撃により90%以上の確率で、北朝鮮からのミサイルを打ち落とせることになります。
これなら安心できる!と思えるのですが・・・
北朝鮮の弾道ミサイル迎撃を想定すると、イージス護衛艦「こんごう型」4隻のうち、2隻を日本海に配備する。
搭載するSM3は1隻あたり8発とされ、1発の弾道ミサイルに対し、万全を期すために2発のSM3を発射する場合、対処可能な弾道ミサイルは8発程度となる。
では、北朝鮮は弾道ミサイルを何発持っているだろうか。
2013年5月、米国防総省が発表した「朝鮮民主主義人民共和国の軍事および安全保障の進展に関する報告」によると、
日本まで届く弾道ミサイルは「スカッドC」(九州北部、中国地方)、
「スカッドER」(本州全域)、
「ノドン」(日本全域)の三種類あり、
合計250基以上の発射器を保有するとしている。
一斉に発射されれば、イージス護衛艦ではたちまち対処不能となり、PAC3が「最後の砦」となる。
だが、自衛隊はPAC3を32基を保有するにすぎない。
2基1セットで活用するので防御地点は16ヵ所に限定される。
防衛省は首都防衛に6基使うため、PAC3で防御できるのは残り13ヵ所。
しかも1ヵ所あたりの防御範囲は直径約50キロと狭い。
米軍が沖縄県の在日米軍基地を防衛するため嘉手納基地にPAC3を24基配備しているのと比べ、日本列島全体を32基で守ろうというのは破れ傘、いや骨だけの傘で雨をしのごうというのに等しい。
これが日本のMDの現実である。
現代ビジネス『対北朝鮮「ミサイル防衛」も「敵基地攻撃」も驚くほど非現実的である』(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51364)より引用
迎撃能力を超える数のミサイルを発射されれば、防ぎきることはできないかもしれないのです。
ミサイルはどこに落ちる?

北朝鮮からミサイルが飛んできた場合、日本のどこに落ちる可能性が高いのでしょうか。
前述した通り、ミサイルを撃ち込む理由が在日米軍にあるなら、米軍が駐留している基地が狙われる可能性があるでしょう。
在日米軍基地であれば
青森県 三沢基地
神奈川県 横須賀基地 厚木航空施設
東京都 横田基地
山口県 岩国基地
長崎県 佐世保基地
沖縄県 嘉手納基地 普天間基地
などが危険視されています。
一方、東京、大阪、愛知などの都市部も危険だという見方もあり、
また、京都等の観光地が狙われるのではないかという話もあります。
その他にも、北朝鮮が資本主義国を叩くときには原子力発電所を標的にするという話もあり、
日本海側に原発のある福井、石川、新潟、北海道、島根、佐賀も危険だといえます。
つまり、日本のどこに住んでいたとしても北朝鮮からのミサイル攻撃の危険に晒されていることになるのです。
本当に恐ろしい・・・
Jアラートが流れたら、安全な場所への避難を最優先にしてください

北朝鮮から日本列島を危険にさらすミサイルが発射された場合、「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が発動します。
アラートによる警報が鳴らされるのは、影響があると思われる場所と、その周辺の広い地域。
緊急地震速報のように防災行政無線が鳴らされ、携帯電話・スマホから特殊なアラームが流れます。
同時に、テレビやラジオからも発動されたことが伝えられることになっています。
Jアラートが発動すると、背筋が凍るような不快な音が流れます。
いざと言う時に混乱しないよう、一度聞いておかれることをお勧めします。
※音が出ます※
事前にJアラートの存在を知っていたとしても、いきなりスマホからこんな音が聞こえてきたら、きっとこう思うでしょう。
「ミサイルが発射された!?」
「えっ、本当に? 訓練や誤報じゃなくて??」
「ちょっとネットで確認してみよう・・・」
Jアラートが流れたら、安全な場所への避難を最優先にしてください。
サイトによって異なりますが、北朝鮮からミサイルが発射された場合、日本に着弾するまでの到達時間は6~10分だと言われています。
そして、Jアラートが発令されるまでの時間は、ミサイルが発射されてから5分ほどかかってしまうのです。
つまり・・・
Jアラートが流れてからあなたの頭上でミサイルが爆発するまで、1~5分しか猶予がないのです。
Jアラートが発令された場合、その情報が正しいか正しくないか調べている時間などありません。
着弾まで時間がないわけですから、とにかく早く動くことが重要です。
危機感をもち、安全な場所への避難を最優先に行うようにしてください。
安全な建物へ避難する
政府が公表している「国民保護ポータルサイト」(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)にて、武力攻撃やテロが発生した時にどのように行動すれば良いのかが記載してあります。(※クリックにてポップアップ画面が開きます※)

このサイトにある、「弾道ミサイル落下時の行動について」を基に、避難と対処法について説明させていただきます。
核が撃ち込まれた場合、最も大きな被害をもたらすのは爆発時に発生する熱線と衝撃波です。
広島に原子爆弾が投下された時も、熱線と衝撃波が要因となり、20万人を超す死傷者を出しました。
爆発時の凄まじい熱は、一瞬にして人間を蒸発させます。
熱線を免れても、衝撃波で吹き飛ばされ、地面や建造物に叩きつけられたり、
弾丸のように飛んでくるコンクリート片やガラス片によって、亡くなった人が大勢いました。
ミサイルが核を搭載していた場合、生き残るためには安全な屋内へ避難し、熱線と衝撃波を回避することが何よりも重要なのです。
核シェルター
もし核シェルターが自宅や近くにある場合は、核シェルターに避難してください。日本で核シェルターというと冗談のように聞こえますが、
特に自分の身は自分で守るという防衛の意識が強いスイスや、
隣に北朝鮮がある韓国では、普通にシェルターが設備として設けられています。
韓国の首都ソウルは、北朝鮮との国境からわずか30キロメートルしか離れていないのですから、危機意識が段違いなわけです。
スイスの防衛に関してはこの本が詳しいです。
災害や戦争に巻き込まれた時、どのように自己を守るのかが書かれており、是非読んでいただきたい名著です。
とにかく地下へ!

核シェルターのない日本の場合、地下への避難というと、
地下鉄や地下街、あるいは地下室に逃げ込むことになります。
そして地上へつながる出口をふさぎ、物陰に隠れ、露出している肌をできるだけ隠すようにしてしゃがみ込みます。
大陸間弾道ミサイルが打ち込まれたとしても(地下を攻撃する専用ミサイルでなければ)空中で爆発します。
そのため、爆心地の2キロ圏内にいたとしても、地下鉄や地下街に逃げ込んで助かる可能性は十分にあります。
事実、広島に原子爆弾が投下された際に、
爆発地点から170メートルしか離れていないにも関わらず、
鉄筋コンクリート建物の地下1階に居たために助かった方がいらっしゃいます。
地下へ逃げ込めない場合はコンクリート製の頑丈な建物へ!

地下鉄も地下街も地下室もない・・・
そんなときはコンクリート製の建物に入り、奥を目指してください。
できるだけ、コンクリートの壁が分厚い建物を選ぶようにしてください。
屋根もコンクリートでできた建物が望ましいです。
外では強い放射線も、コンクリートが障壁となって弱めてくれます。
外の放射線量を1とすると、
地下室の奥で10000分の1、
頑丈なコンクリート製の建物1階で10分の1、
2階で100分の1
にまで弱まるといいます。
窓から離れ、できるだけ建物の中心に行くようにしてください。
これは窓から差し込む熱線を避け、割れたガラスの破片から身を守るためです。
窓のない部屋
トイレ
風呂場
倉庫
などに逃げ込みます。
コンクリート製の建物でない場合も同様です。
また、窓や壁との間に遮蔽物を置きます。
机や椅子、本棚、コンクリート、土の山・・・何でも構いません。
とにかく自分と爆弾との間に、なるべく大量の質量と物質を置くようにします。
建物がない場合は、物陰に隠れ地面に伏せて頭を守る
Jアラートが流れた時に建物にすぐ逃げ込むことができなかった場合は、物陰に隠れ地面に伏せて頭部を守ってください。
また、車に乗っている場合はガソリンに引火する危険性があります。
直ちに車から降りて、地面に伏せてください。
これらは、伏せることで、瓦礫やガラス片が突き刺さる面積を最小限にするのが目的です。
具体的には、
①吹き飛ばされないために、溝等の隠蔽物を利用してその中に身を隠す
②爆発の反対方向に頭が来るようにうつ伏せになり、頭部を守る
③閃光で失明、衝撃波で鼓膜が破れるのを防ぐため、両手で目・耳を塞ぎ、口は開けておく
(口を開くのは、急激な気圧の変化で鼓膜が損傷するのを防ぐ)
④うつ伏せになる際、腹部が床・地面に接触しないようにする
(床・地面に接触していると、爆発時に発生した衝撃波が腹部に直接伝わり、内臓を破壊したり心肺に悪影響を与える可能性があるため)
この時、熱線によるやけどを防ぐため、肌の露出は最小限になるようにします。
また、黒い色や金属は熱を吸収しやすいので、できるだけ白い布をまとったり、金属製のアクセサリーや時計は外すようにしてください。
爆発時の熱線と衝撃波が収まってから、
口と鼻をハンカチなどで覆い、その場から直ちに離れ、密閉性の高い頑丈な屋内か、風下など、汚染のおそれのない安全な場所へ避難してください。
このように書きましたが、近くで核ミサイルが爆発した場合、高温の熱線と爆風によりほぼ確実に死亡します。
爆発時の熱線は、人が溶け蒸発してしまうほど高温です。
爆風は建物が吹き飛んでしまうほどの威力を持ち、無数の瓦礫やガラスがあなたを襲います。
即死を避けるため、ほんのわずかでも生き残るための確率を上げるために行動してください。
ミサイル爆発後、避難場所から外へ出るべきか?留まるべきか?

無事に避難できたとして、ミサイル爆発後、避難場所から外へ出るべきなのでしょうか。
それとも留まるべきなのでしょうか。
もちろん状況にもよりますが、ミサイルが着弾・爆発したとしても、すぐには避難場所の外に出ない方がよいでしょう。
撃ち込まれるミサイルが1発とは限りません。
続けざまに2発目以降のミサイルが撃ち込まれ、着弾する可能性だってあります。
また、核や生物兵器・化学兵器などをミサイルに搭載している可能性も考えられます。
避難場所から外に出ることで、それらの被害に遭う危険性があるのです。
どうしても屋外を移動しなければならない時は、
汚染物質を体内に入れないよう、タオルやハンカチを水で濡らし、口と鼻に当てた状態で移動するようにしてください。
放射能や一部の生物兵器・化学兵器は臭いがありません。
決して油断せず、あらゆる危険を想定して行動してください。
また、放射能や生物兵器・化学兵器などの汚染物質が付着してしまったと思われる場合、外面に肌を触れないように服を脱ぐこと。
服を脱ぐことができない状況であれば、何か道具を使い、服の表面を払うようにしてください。
そして救護隊に会うことができたら、その報告をして除染してもらうこと。
すぐに症状が出るわけではなく、時間が経ってから異変が起きるものもあります。
その時に異変がない場合でも、救護隊に報告し、しかるべき処置をしてもらいます。
デマは確実に出る テレビ・ラジオで正確な情報を!

情報の見極めにも注意が必要です。
災害時、デマは確実に出回るものだと思っていてください。
もしミサイルが発射・着弾すれば、様々な臆測や噂がネットやSNSを通じて拡散され、パニックにつながる危険性が考えられます。
誤った情報を信じて拡散させてしまうこともあれば、いたずら目的・遊び半分で嘘の情報を書き込む人間が出てくることもあるでしょう。
2016年4月の熊本地震の時に、「動物園からライオンが逃げ出した」というデマが画像付きで拡散されました。
避難する人々を恐怖させたこのデマは、行政の業務を著しく妨害したと判断され、後に逮捕者が出ています。
大事なのはデマに翻弄されることなく、信頼性の高い情報を見極め判断すること。
テレビやラジオ、首相官邸の公式ホームページやtwitterなどから、正確な情報が得られるはずです。
災害に備え、私もラジオを携帯しています。
LEDライト付きで、手回しなので電池も不要です。
まとめ
●日本には米軍の主要基地があるため、北朝鮮のミサイルの標的になりえる●日本は「SM3」と「PAC3」という防衛システムを有しているが、迎撃能力を超える数のミサイルが発射された場合、完全に防ぎきることはできない
●Jアラートが流れてからミサイルが着弾するまで1~5分しか時間がないため、速やかに安全な場所へ避難する
●核シェルター、地下、コンクリート製の建物の順に避難を行う
●ミサイルの爆発後は外に出ず避難場所に待機する。外へ出る場合は、放射能や生物兵器・化学兵器が使われた可能性に留意し慎重に行動すること
●デマや嘘の情報に惑わされず、テレビやラジオなど、信頼性の高い情報から判断する
もしミサイルを撃たれた場合、どのように避難し身を守ればよいか・・・
意外にも具体的に書いているサイトが見当たらなかったので自分なりに調べまとめてみました。
有事の際は、一人でも多くの方のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。