ロシア・シベリアの地下に響き渡る「地獄の声」は嘘?ホント?聞くのも怖い音声を分析してみた結果…

ロシア都市伝説 地獄の声

人の知りたいと思う欲求は果てしなく、好奇心や探求心の目は深海や宇宙の彼方にまで向けられています。
ですが深海より宇宙よりずっと身近な地下についてもあまり解明されていません。

最も地下深くを掘削した記録でも12キロメートルまで。
地球の直径と比較するとわずか0.01%に過ぎず、人類は地球のごく表面のことしか知らないのです。

そんな地球の内部についてこんな不気味な都市伝説があります。
ロシアがかつてソビエトと呼ばれていた時代、シベリアで地下深くを掘削するというプロジェクトが行われました。
その途中の地下14.4キロメートル地点にて謎の空洞に行きつきました。

技術チームが興味を持ってマイクを下したところ、なんとその空洞の中で人間の声が録音されていたというのです。



スポンサーリンク

地獄の声とは

ロシア都市伝説 地獄の声 シベリア
地獄の声とは、ソビエト連邦が行っていた科学プロジェクトに関する都市伝説です。
地獄の音地獄の井戸と呼ばれることもあります。

1989年、ロシアがソビエト連邦だった頃の話です。
アザコフと名乗る人物が率いる技術チームが、シベリアにて地殻調査を行っていました。

地下深く目指して穴を掘っていったところ、14.4キロメートル地点に差し掛かった時、ドリルが急に回転。
これはそこに空洞か洞窟がある事を示しています。
予期しない発見に興味を持った技術チームは岩盤の動きを調査するため、他の観測装置といっしょに耐熱性のあるマイクを穴に下しました。

観測装置を見ると空洞内部の温度が1000度であることがわかりました。
しかし岩盤の動きを知るために下したマイクが記録したのは叫び声にも似た人間の声だったのです。

最初こそ、その音は自分達が下した装備や設備から起こっている音だと思って調整に取り掛かりました。
しかしマイクからは叫び声をあげる人間の声が聞こえ続けます。
それも一人の人間のものではなく、何百人もの人間の悲鳴が…

そrはまさしく炎熱が罪人を焼く地獄を連想させるものでした。
人類は地下深くを調査することで地獄の存在を証明してしまったのです。

事の重大さに恐れをなしたのか、ほどなくしてこのプロジェクトは中止になりました。
この奇妙な事件はフィンランドの新聞社の記事になり、通称「地獄の音」として世界に広まりました。

●  ●  ●

このエピソードは少なくとも1995年にはアメリカのネット上で話題にされています。
そしてシベリアで録音されたという地獄の亡者の叫び声とされる音声を今も動画サイト等で聞くことができます。

※クリックすると再生 音声が出ます※



シベリアで録音された音声はおよそ25秒ととても短いもの。
そかし多数の男女が苦しむ唸っているような、助けを求めて叫んでいるような声が収められています。
背筋が寒くなる気味が悪い音声です。

音声を聞いた人の中には日本語で「助けて」という声が聞こえたという話も…

地獄の声の疑惑と真相

地獄の声は映画の音声の加工じゃないか?

非常に興味をそそられる地獄の声のエピソードですが、この気味の悪い音声にはある疑惑がありました。
地獄の声は映画の音声を加工したものではないかというものです。

1972年に公開されたイタリア映画『処刑男爵(原題:Baron Blood)』の音声を加工したものではないかという疑惑で、それを実際に検証した動画が上げられています。

※クリックすると再生 音声が出ます※

英語の動画なのですが簡潔にまとめると、地獄の声と『処刑男爵』の音声が酷似していること 、地獄の声は元の音声をループさせたものにすぎないことが説明されています。

コラ半島超深度掘削坑のエピソードと混ざった?

ロシア都市伝説 地獄の声 コラ半島超深度掘削坑

コラ半島にある掘削坑跡(ウィキペディアより画像引用)

「地獄の声」の都市伝説を探そうとすると、掘削した穴の深さが14.4キロメートルと書かれたものと12キロメートルと書かれたもの2パターンあることに気がつくと思います。

これはおそらくコラ半島超深度掘削坑のエピソードと混同したものだと思われます。
この記事の冒頭で触れた「最も地下深くを掘削した記録」ですね。
コラ半島で行われた掘削に関しては、ギネスにも載っている公式な記録です。

ソビエト連邦は実際に地球の地殻深部を調べるため、地下15キロ地点への掘削を目指す科学プロジェクトを行っていました。
ですがそれはシベリアではなく、ノルウェーとフィンランドとの国境を共有するロシア北西部・コラ半島にて行われたのです。

掘削は1970年5月24日に始まり、1989年に深さ12262メートルに達しました。
ボーリング坑は直径23センチメートル、今も地球上で最も深い人工地点であるとされています。

地下12キロメートルではいくつかの興味深い地質情報が発見されました。

●大量の水素の発見
●地下水ではなく深部由来の水が充満しており、鉱物から発生したものと推測
●24種類もの単細胞プランクトンが発見

しかしそのプロジェクトの報告の中には、超自然的なものとの遭遇はなかったとされています。

ところが予想に反し、100度程度と思われていた地中の温度は180度
坑から流れ出した泥は大量の水素ガスにより「沸騰」していたのです。
深さが増すにつれ温度はさらに上昇すると予測され、目標地点の15キロメートルになると300度に達すると考えられました。

そのような条件下では地中を掘り進めるドリルが機能しなくなるため、これ以上深く掘削することは不可能と判断。
1992年に掘削が中止、その後ソ連が解体されたためプロジェクトは1995年で終了しています。

どうやら「地獄の声」は作り話っぽい

ロシア都市伝説 地獄の声 フェイクニュース
地獄の声とコラ半島超深度掘削坑にはいくつか類似点が見られます。

●ロシア国内で行われた
●1989年という一致
●地下深くを掘削して調査していたところ予想外の発見があった
●地下深くは思っていたよりも高温だった
●プロジェクトが打ち切られている

地獄の声とされる音声も映画音声を加工したものと検証されていますし、そもそも1000度の熱に耐える掘削機械もマイクも存在しません。
1000度と言えばアルミも銅も融けてしまうくらいの温度ですから。

以上の点から地獄の声は都市伝説、おそらくはコラ半島超深度掘削坑に端を発するものだと想像します。

この記事のまとめ!

地獄の声について考察しここまで否定しておいてなんですが、他の地底にまつわる噂や都市伝説についてはちょっとあり得るのではないかと思っています。

地球内部に別の世界が広がっているという「地球空洞説」や地底世界の「シャンバラ」や「アガルタ」。
いまだ原因不明の鳴り響く謎の音「アポカリスティック・サウンド」。
火口にUFOが飛び込む様子が撮影され、内部に宇宙人の基地があると噂されるポポカテペトル火山

死んだ妻に会いに行ったオルフェウスや伊弉諾尊の黄泉比良坂など、神話にも地下の世界についての話が散見されます。

これは私がペルーのマチュピチュを訪れた時にツアーガイドの人から聞いた話です。
インカ帝国の遺跡であるマチュピチュですが、そこに暮らしていた人が住まいを捨ててどこに行ったのか、原因や行き先はわかっていない。
伝承によるとインカ帝国の人たちが目指した先は地下の世界に向かったとされています。

ちょっと無理やり地下世界について話を引き延ばしつつ…最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
また来てね!