お稲荷様は危険な怖い神様!?神社を参拝したらずっと信仰し続けないと祟るってホント?

稲荷 参拝 怖い

「おいなりさん」の名前で親しまれている稲荷社は、日本で最も数が多い神社です。

その数は全国で2万社におよぶといいます。
これはコンビニ最大手のセブンイレブンの店舗数と同じくらいの数字です。
とても身近にいらっしゃるお稲荷様ですが、こんな怖い噂を耳にしたことはないでしょうか。

「お稲荷さんは怖い神様だから、安易に参拝すると祟りをもらうので危険である」

お稲荷様にお参りをすると、今後もずっとお参りをしなければならない
孫子の代までずっと信仰し続けなければならない
お稲荷様に願い事をして叶ったならば、必ずお礼をしなければならない
もし何もお礼などをしなかった場合は、祟りを受ける・・・

お稲荷さんといえば、多くの人が狐の姿を連想するでしょう。
そして昔話に登場する狐といえば化けて人を騙したり、「狐憑き」のようにとり憑いたりと、人に対して悪さをするイメージがあります。

噂のとおり、お稲荷様は祟りをなす怖い神様なのでしょうか。
本当なのかどうか調べてみました!

スポンサーリンク

お稲荷様 = 狐 ではない!

稲荷 参拝 狐
初めにありがちな誤解を解いておきましょう。
お稲荷様は狐の神様ではありません。
お稲荷様は五穀豊穣を司る収穫の神様であり、狐は「眷属」と呼ばれるお稲荷様の遣いです。

だからお稲荷様は動物の神様ではありませんし、稲荷神社で狐を祀っているというわけではないのです。

だけど場所によっては、「お稲荷様=狐」のまま定着してしまった神社もあります





お稲荷様は農作の神様

稲荷 参拝 豊作
お稲荷様はもともと五穀豊穣を司る農作の神様の総称です。
経済が貨幣中心になり、お金が流通するようになってからは商売の神様ともなりました。

お稲荷様の神使は白狐と呼ばれる、目には見えない透き通った体の狐だとされています。
一方、お稲荷様の正体については明かされておらず、

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
保食神   (うけもちのかみ)
倉稲魂命  (うがのみたまのみこと)
豊宇気毘売命(とようけひめのみこと)

などの記紀に登場する神様が稲荷神ではないかと推測されています。

「ウカ」や「ウケ」という言葉は日本の古語で「食べ物」を表していました
朝御飯、夕御飯のことを「あさげ」「ゆうげ」というのもその名残じゃないかな
古事記に登場するオオゲツヒメの名前にも「ゲ」の音が入っています。
もしかしたら稲荷神のうちの一柱なのかもしれません。

余談ですが、五円玉硬貨のデザインは日本の産業を象徴したものになっているという話を御存じでしょうか。

稲荷神社 怖い 五円玉
稲の束は農業を表し、その下の水面は水産業、中央の穴の周りにある歯車は工業、裏面の葉っぱは林業を表しています。
この五円玉の稲の束は伏見稲荷大社の御神紋と同じものが使用されているのです。

稲荷 参拝 神紋
おそらくは日本の産業の発展を祈って取り入れられたのでしょう。

お稲荷様には2つの系統が存在している

お稲荷様は五穀豊穣を司る農作の神様だとお話ししました。
実はお稲荷様には神道系と仏教系の2つの系統が存在しています。

どちらの系統も穀物の神様であり、眷属が狐であるというところは共通しているのですが、
仏教系のお稲荷様には恐ろしい由来が伝えられています。

神道系のお稲荷様 宇迦之御魂神


宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)様は、すでに紹介した通り日本の神道の神様です。

伊勢神宮外宮の神様である豊受大神とも同一であるといわれています。
伊勢神宮では、稲荷とは称していないものの外宮にて稲荷神を祭っていることになります。

総本山は言わずと知れた京都の伏見稲荷
鮮やかな赤い社殿と、奥の御山に続く千本鳥居が有名で、外国人観光客にも絶大な人気を誇る観光スポットになっています。
お米や食物、農耕や商工業などを司る、やさしく温厚な神様と言われています。

仏教系のお稲荷様 荼枳尼天

稲荷 参拝 豊川稲荷
愛知県にある「豊川稲荷」
名前に稲荷とありますが豊川稲荷は神社ではなくお寺なので、宇迦之御魂神や稲荷大神をお祀りしておりません。

豊川稲荷でお祀りしているのは「荼枳尼天(だきにてん)」というインド由来の「女神」なのです。

日本に仏教が入ってきた時代、本地垂迹思想のもとで日本の神さまにも様々な仏様が割り振られることになりました。
仏教の荼枳尼天はジャッカルの背に乗っているのですが、日本にはジャッカルがいません。
そこでジャッカルと姿が似ている狐になり、狐を眷属とするお稲荷様と同一視されるに至ったのです。

この荼枳尼天は力の強い仏様で、祈りを捧げることで神通力を得ることができたり、現世利益を得ることができると信じられていました。
しかし荼枳尼天の前身であるダーキニーは、人の死期を知り、死ねばその心臓を食すといわれる荒ぶる神なのです。

怖っ・・・! じゃあこの荼枳尼天が、祟りをおこす「怖い神様」ってこと?
確かに荼枳尼天は気難しいとされていますし、代償を要求する怖い神様のように思えます。
しかしダーキニーは大黒天に調伏され仏教に帰依しています。
心臓を食すのも人が死んだ後の話です。

一見恐ろしい神様のように思えますが、決してむやみに命を奪う神様ではないのです。

スポンサーリンク


なぜ「お稲荷さんは祟るから危険」と言われるようになったのか

それではなぜ「お稲荷さんは祟るから危険」と言われるようになったのでしょうか。
それは宇迦之御魂神と荼枳尼天の共通点である眷属の」に理由があるのです。

祀られるようになった「狐」

稲荷 参拝 狐
将を射んと欲すれば先ず馬を射よという言葉があります。
目的を達成するためには、まず周りから手をつけていこうという意味の言葉ですね。

偉い人に自分の要求をのんでもらうため、まずは側近に取り入り気に入られるようにする、ということは昔から広く行われていました。
同じように、お稲荷様にお願いするにあたって、直接神様にではなく眷属の狐のご機嫌をとり、願いを聞き届けてもらおうと人々は考えたのです。

しかし時代が下るにつれ、狐に付け届けをしているうちに本来の神様のことは忘れてしまい、いつしか眷族であるはずの狐を祀るようになってしまいました。

この時に狐に贈ったワイロがおいなりさん
油揚げにお米を詰めた「おいなりさん」は、狐の好物であるネズミに似せて作られた食べ物だったのです。
そして江戸時代には「伊勢屋、稲荷に犬のクソ」といわれるほどお稲荷様がたくさんありました。

表現が汚い・・・!
長屋ごと、そして商人の家には必ずお稲荷様があったのです。
それほどたくさん数があるなら、火事や事故が起きた場所がどこであっても近くにはお稲荷様があることになります。
家が潰れたり不幸な事件が起こったなら、そこに住む人とお稲荷さんの間に関係があったと考えられても無理はありません。

不幸や不運は全て、お稲荷さんの祟りということにされました。

「触らぬ神に祟りなし」ということでしょうか。
お稲荷様には安易に触れないほうがいいと言われるようになり、それがいつしか「お稲荷さんは良くない神様」と言われるようになってしまったのです。

犬神信仰と混同された狐

稲荷 参拝 犬神

(https://ja.wikipedia.org/wiki/犬神)より画像引用

また眷属の狐への信仰が犬神信仰と結びつき、「稲荷は祟る」と言われるようになったという説もあります。

横溝正史の『犬神家の一族』という小説をご存知でしょうか。
その犬神家の長女が信奉していたのが「犬神」です。

この犬神とは、三峰神社系のお札にある大口真神のことではなく、西日本、特に四国や岡山に見られる信仰のことです。

稲荷 参拝 大口真神▲古民家で見かけた大口真神のお札



大口真神とは山犬、つまり狼のこと作物を荒らす兎や猪を退治する狼は信仰の対象とされていました
犬神は信仰すれば財を成し富をもたらしてくれるのですが、見返りに血を求めるとも、ないがしろにすると末代まで祟るとも言われています。
この話が広がると、やがて犬神と狐とが混同され、犬神と同様に狐も粗雑に扱うと祟ると考えられるようになりました。

その結果、「稲荷神は祠り続けないと祟りがある」「稲荷にお参りしたら一生お参りしなければならない」と言われるようになったのです。

本当に危険なのは欲にまみれた「人の心」

「稲荷を祀れば3代で家が潰れる」という言葉があります。

これは狐を粗雑に扱うと祟りが云々という話ではなく、

家業を起こした初代は「しっかり祈り、しっかりとお礼をする」
その背中を見てそだった息子も「父の真似して手を合わせる」
しかし、その孫の代までなれば「家業が大きくて当たり前。感謝を忘れる」

そして、お稲荷様の怒りに触れて一瞬にしてひっくり返る

これは「感謝の心を忘れてはいけない」との教訓を含んだエピソードでしょう。

お稲荷様が危険なのではありません。
本当に危険なのは信仰を忘れ、欲にまみれた「人の心」なのです。

神社の境内で、信仰心もなく現世利益を願い、自分勝手な願いをかける人がどれほど多くいることでしょう。
豊穣と商売繁盛をご利益とする稲荷社なら尚更です。

また、先に述べたとおり、間違った認識により狐を祀るようになったという事実があります。
だから管理されていない稲荷神社には動物霊が集まりやすいと言います。

あわせて読みたい参拝してはいけない神社の特徴
「どの神社でもお参りすれば身を清め願いを叶えてくれる」と考えてはいませんか?
ですが神社の中には気軽に参拝してはいけない神社もあるのです。名前に○○と入っている神社は特に・・・
荒れ果てた稲荷の祠があったら注意してください。
狐はお稲荷様の眷属ですが、主祭神がいない神社にははぐれ狐が居座っている可能性があります。

そのような神社に行って手を合わせてお祈りするのは大変危険です。
もしお祈りしてしまい、その後も体調不調や不運が続く場合には、正統なお稲荷様に参拝しなおしてくださいね。

おわりに

稲荷神社の参拝について、ネット上でいろいろな噂が流れています。
そのほとんどが根拠のない噂話であり、単なる迷信に過ぎません。
知恵袋の回答で「稲荷は妖怪である」なんて書き込みを見たときはびっくりしました。

稲荷神社へ参拝したとしても、孫子の代までずっと御参りをしなければならないと言う考えは神社にはありません。
もしお願いが叶ったなら、お礼に一度、お参りをすればそれで十分です。
あわせて読みたいお礼参りの方法
お願い事が聞き届けられたなら感謝を伝えるのは人としてわきまえるべき礼儀です。
お願いが叶ったなら神様にお礼を伝えに行きましょう!
宇迦之御魂神様も荼枳尼天様も、高級な魂を持つ神仏でいらっしゃいます。
だから罰も当てませんし祟ることもありません。

願い事に対して真摯に向き合い、向上心を持って自ら努力すること。
そのように行動して生きる人間がいることをきっと喜んでくださるはずです。

だからどうか安心して、他の神社と同じように敬意と清い心をもってお参りしてください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
また来てね!!

この記事を読んでくださったあなたへのおすすめ!
↓   ↓   ↓


「心霊」についての人気記事をまとめました!

リンク、またはバナーをクリックするとまとめ記事一覧に移動します!